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9面ビジネスイベント 解説

株主総会のしくみ 決議の種類と議決権行使の流れ

株主総会はいつ開かれ、何が決まり、株主はどう議決権を行使するのか。6月の総会シーズンを例に、定時総会と臨時総会、普通決議と特別決議、電子提供制度、株主提案の要件を会社法に沿って整理する。

ジャパンマーケットニュース編集部 公開 6分で読めます
写真はイメージです(Unsplash)

2026年6月26日、3月期決算の上場会社のうち656社が、同じ日に株主総会を開いた。東京証券取引所の集計では全体の30.6%にあたる。なぜ6月に集中するのか、総会では何が決まるのか、株主はどの方法で議決権を使えるのか。会社法の条文に沿って、基本を整理する。

要点
  • 定時株主総会は事業年度終了後の一定の時期に開く。6月集中は、会社法に「3か月以内」と書いてあるからではなく、事業年度末を基準日にする定款の定めと、基準日の権利行使の期限が結びついているためである。
  • 決議は主に普通決議と特別決議。特別決議は出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が要り、定款変更や組織再編が対象になる。
  • 株主総会資料の電子提供制度は2022年9月1日に始まった。株主は書面・電磁的方法・当日出席のいずれかで議決権を行使できる。

定時総会はなぜ6月に集中するのか

株主総会には、毎事業年度の終了後一定の時期に開く定時株主総会と、必要がある場合にいつでも開ける臨時株主総会がある。会社法第296条第1項は、定時総会の時期を「毎事業年度の終了後一定の時期」とだけ定める。「3か月以内」とは書いていない。法務省も、事業年度終了後3か月以内の招集が法律上必ず求められるわけではないとの考えを示している。

実際に3か月が壁になるのは、基準日の仕組みがあるためだ。多くの会社は、定款で事業年度末日を議決権行使の基準日としている。会社法第124条第2項は、基準日株主が行使できる権利を、基準日から3か月以内に行使するものに限る。3月末が基準日なら、総会は6月末までに開く必要がある。

ただし、これは慣行を支える制度であって、絶対の期限ではない。法務省は、災害などで予定どおり開けない場合は、状況が解消したあと合理的な期間内に開けば足りるという考えを示している。2026年は、東証の集計で、5月31日までに開催予定日を明らかにした2,142社のうち656社が6月26日に集中した。集中日の比率が3割を超えたのは6年ぶりで、共同通信は、総会前に開示する有価証券報告書の作成負担が背景にある可能性を伝えている(2026年6月の総会シーズンを振り返った記事)。

決議は普通決議と特別決議に分かれる

総会の決議は、必要な賛成の割合で区別される。条文上の「普通決議」という言葉はないが、一般にそう呼ぶ。要件を表にまとめる。

種類定足数可決の要件主な対象
普通決議(第309条第1項)議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主の出席出席株主の議決権の過半数取締役の選任など
特別決議(第309条第2項)議決権の過半数を持つ株主の出席(定款で3分の1以上の割合を定めた場合はその割合)出席株主の議決権の3分の2以上定款変更、組織再編、監査役の解任など

どちらも、定款に別段の定めがある場合の扱いが条文に書かれている。特別決議では、賛成の割合を定款で3分の2より高くできる。定足数の分母は、どちらも議決権を行使できる株主の議決権である。一方、可決の分母は、どちらも出席した株主の議決権になる。違いは賛成に必要な割合で、過半数か3分の2かだ。出席者が少ない総会では、全議決権に対する実際の賛成割合は、見かけの数字より低くなる。

実務への影響は大きい。たとえば、持株会社をつくる株式移転は組織再編にあたり、特別決議が要る。ヤマダHDとエディオンが2027年6月に両社の総会を予定しているのは、そのためだ(統合の基本合意を扱った記事)。一方で、取締役の選任は普通決議で足りる。第一生命経済研究所によれば、2026年6月の総会では、株主提案による取締役選任議案が2社で可決された。

招集通知から議決権行使まで

株主総会を招集するとき、取締役は会社法第298条に基づき、日時・場所、目的事項、書面による議決権行使を認めるか、電磁的方法による行使を認めるか、を決める。取締役会設置会社では、この決定は取締役会の決議による。公開会社では、総会の日の2週間前までに株主へ通知を発する必要がある。

資料の渡し方は、2022年9月1日に変わった。法務省によれば、株主総会資料を自社のウェブサイトに掲載し、株主にそのアドレス等を書面で通知する方法で提供できる電子提供制度が、この日に施行された。電子提供措置は、会社法上、総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から始める。

紙の資料がほしい株主は、書面交付請求をすればよい。2022年12月26日の省令改正では、単体の計算書類や損益計算書などが、書面交付請求をした株主に送る書面に記載しなくてよい事項に加えられた。つまり、書面を請求しても、すべての資料が紙で届くとは限らない。

議決権の行使には、総会当日に出席する方法のほか、書面(議決権行使書面)と電磁的方法(インターネット等)がある。後者の二つを認めるかどうかは、先に述べたとおり会社が招集時に決める。もっとも、書面や電磁的方法を認めたからといって、当日の出席の権利がなくなるわけではない。

株主提案のルールと2026年の実例

株主は、会社が出す議案とは別に、議題や議案を提案できる。会社法第303条第2項によれば、取締役会設置会社では、総株主の議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権を6か月前から引き続き持つ株主に限り、議題を請求できる。請求は総会の日の8週間前までに行う。これらの数字は定款で緩和できる。

2026年6月の総会では、機関投資家による提案が過去最多になったとの集計がある。ただし、提案を受けた企業数は、三井住友信託銀行、大和総研、第一生命経済研究所の集計で異なる。総会後に分かる数字には、誰が、いつ、どう数えたかの注記が欠かせない。

仕組みを知っていれば、ニュースの読み方も変わる。「提案の請求は総会の2か月ほど前に出そろう」「特別決議は3分の2が要る」「総会に出なくても書面やインターネットで議決権を使える」。この三点を押さえておけば、総会関連の報道の多くは、数字の意味を取り違えずに読める。

出典

  1. 会社法(e-Gov法令検索、第124条・第296条・第298条・第299条・第303条・第309条)
  2. 会社法の一部を改正する法律について(法務省、電子提供制度・省令改正)
  3. 会社法の関連規定について(定時株主総会の時期・基準日)(法務省)
  4. 2026年3月期決算会社の定時株主総会開催日の集計結果について(東京証券取引所、2026年6月5日)
  5. 656社が株主総会 業績不振に厳しい声も(共同通信配信、2026年6月26日)
  6. 2026年6月の定時株主総会における株主提案の特徴(第一生命経済研究所、2026年7月28日)

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