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4面企業 ニュース解説

トヨタ4〜6月期、営業益8.8%減も通期予想を上方修正

トヨタが2026年4〜6月期決算を発表した。営業収益は10.4%増の13兆5,254億円、営業利益は8.8%減の1兆634億円。通期予想は営業利益3.4兆円に引き上げ、上限1兆円の自己株式取得も決めた。上方修正の中身を整理する。

ジャパンマーケットニュース編集部 公開 出来事の日付 7分で読めます
写真はイメージです(Unsplash)

トヨタ自動車は2026年8月4日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の連結決算(国際会計基準=IFRS)を発表した。営業収益は13兆5,254億円で前年同期比10.4%増えたが、営業利益は1兆634億円と8.8%減った。同時に通期の業績予想を引き上げ、取得上限1兆円の自己株式取得も決議した。

要点
  • 4〜6月期は営業収益が10.4%増の13兆5,254億円、営業利益は8.8%減の1兆634億円の増収減益。
  • 通期予想は営業収益54兆円、営業利益3.4兆円に修正(修正前は51兆円、3.0兆円)。ただし営業利益は前期比9.7%減の予想である。
  • 自己株式取得は上限5億株・1兆円(2026年8月5日〜2027年8月4日)。あわせて2億株の消却も決めた。

増収減益の4〜6月期と、引き上げられた通期予想

東京証券取引所の適時開示(TDnet)に出た決算短信によると、2026年4〜6月の連結業績は次のとおりである。

項目金額前年同期比
営業収益13兆5,254億円10.4%増
営業利益1兆634億円8.8%減
税引前四半期利益1兆9,638億円56.8%増
親会社の所有者に帰属する四半期利益1兆4,770億円75.6%増

営業収益は、IFRSの様式で日本基準の「売上高」にあたる項目である。基本的1株当たり四半期利益は120.69円だった。営業利益は短信では1,063,473百万円と記載されており、報道では「1兆634億円」と「1兆635億円」の表記が混在する。本稿は短信の値に基づき1兆634億円とした。

Car Watchの決算記事によると、連結販売台数は239万5,000台(前年同期比99.3%)だった。日野ブランド車2万6,000台が連結から外れた影響を含む。電動車比率は47.4%から55.3%に上がった。

通期(2027年3月期)の予想は次のように修正された。

項目修正前修正後前期比
営業収益51兆円54兆円6.5%増
営業利益3.0兆円3.4兆円9.7%減
親会社の所有者に帰属する当期利益―3兆2,500億円15.5%減

年間配当予想は100円で据え置いた。日野自動車とその連結子会社、計70社が連結範囲から外れたことも短信に記されている。

背景:中東・関税・中国の逆風とハイブリッド車の増販

営業利益が減った要因として、日刊工業新聞(ニュースイッチ)は中東情勢の悪化、中国市場の鈍化、米国関税の影響を挙げる。同紙によると、経理本部長は収益改善努力の積み上げで前年同期並みの水準を確保できたと説明した。

地域別の動きはCar Watchが伝えている。日本は諸経費の増加などで減益、北米は価格改定や為替、関税負担の低減により赤字から黒字に転じた。欧州は価格改定の効果で増益、中国は販売面の影響などで減益、金融は融資残高の増加で増益だった。

逆風の大きさは、期初の見込みと比べるとつかめる。中東情勢による営業利益への影響は、5月の期初時点では2027年3月期に6,700億円の減少と見ていたが、約5,100億円の減少に縮小する見込みだ。米国関税の影響も、年間1兆3,800億円のマイナスから1兆3,100億円に縮まる。日刊工業新聞は、物流ルートの変更や仕入れ先との連携が寄与したと伝える。

中東への対応では、物流の見直しも進んだ。Car Watchによると、前回の見通しではホルムズ海峡の封鎖を前提に影響を見込んでいたが、喜望峰回りの航路に全面的に切り替えるのではなく、中東の近くで荷下ろしして陸路で運ぶ方法に改め、減少分の見込みを圧縮できたという。

支えの一つがハイブリッド車(HV)である。日刊工業新聞によれば、HVの販売は日本・北米・中国など全地域で増える傾向にあり、業績の下支え要因と位置づけられている。Car Watchは、トヨタが2026年に年間500万台超のHVを生産する計画で、生産能力を増強すると伝える。日本では60万台規模のHV用電池ラインを2027〜2028年に次世代電池へ切り替える計画で、ニッケルからリチウムへの転換により、性能の向上とコスト低減を図る。

影響と論点:上方修正の4,000億円は何でできているか

通期の営業利益予想は、3.0兆円から3.4兆円へ4,000億円引き上げられた。Car Watchによると、内訳は為替がプラス4,800億円、営業面の努力がプラス2,300億円で、営業努力のうち1,050億円は中東の影響の改善分である。

プラス要因を足すと7,100億円になる。引き上げ幅が4,000億円なので、差し引き約3,100億円は押し下げ要因があった計算だ(本稿の計算値)。同記事は資材価格の高騰などの減少要因があるとするが、金額は本文に載っていない。為替の4,800億円だけで引き上げ幅を上回っており、通期の営業利益が為替の前提に左右されやすい構造もうかがえる。なお、中東の影響には「縮小幅1,600億円」と「営業努力の内訳1,050億円」という2つの数字が出ているが、算出の範囲が同じかどうかは、確認できた資料からは判別できなかった。

収益性は下がっている。営業利益率は7.9%(Car Watch)で、前年同期の営業収益と営業利益を増減額から逆算すると約9.5%だった(計算値)。営業収益が1兆2,720億円増えても、営業利益は1,026億円減っており、売上の拡大が利益に結びつきにくい局面だと読める。

四半期の利益は、通期予想と並べて読む必要がある。第1四半期の親会社の所有者に帰属する利益は75.6%増の1兆4,770億円だが、通期予想は15.5%減の3兆2,500億円だ。通期予想に対する第1四半期の割合は、営業利益で約31%、当期利益で約45%(いずれも計算値)。税引前利益が営業利益を約9,000億円上回っており(計算値)、営業利益以外の損益が当期利益を押し上げている。内訳は短信の損益計算書や注記で確認する必要があり、本稿では特定していない。

自己株式取得は、上限が5億株・1兆円で、自己株式を除く発行済株式の4.22%にあたる。取得期間は2026年8月5日から2027年8月4日まで、あわせて2億株の消却も決議した。自己株式取得は株主還元の手法の一つで、取得した株式を消却すれば発行済株式数が減り、1株当たり利益などの指標に影響する。ただし5億株・1兆円は上限であり、期間内に全額を取得すると決まったわけではない。

一方、通期の営業利益は前期比9.7%減の予想で、増益を見込んでいるわけではない。中国についても、日刊工業新聞は市場の成長自体が鈍化しており、短期的な対策の効果は限られるとしている。

配当の面では、年間配当予想は100円で据え置かれた。通期の利益予想の修正と配当予想は別の判断で、今回は利益予想だけが動いたことになる。

今後の注目点:中東・関税の実績と為替の前提

  • 中東と関税の実績:通期の影響見込み(約5,100億円、1兆3,100億円)が、四半期ごとの実績で裏づけられるか。
  • 為替の前提:通期の営業利益予想は為替の影響が大きい。前提の為替レートは決算説明資料で確認できる。
  • 自己株式取得の進み方:取得の状況は、会社の開示で確認できる。
  • 通期予想に入っていないリスク:Car Watchによると、熊本地震による生産への影響は通期の見通しに反映されていない。
  • HVの増産と電池投資:年間500万台超の生産計画と、電池ラインの切り替えが予定どおり進むか。

短信の項目の読み方は決算短信の読み方を整理した記事で、同じ4〜6月期に決算を出した別の企業の例は任天堂の4〜6月期決算の解説で扱っている。次の決算発表日は、トヨタのIR情報で確認できる。

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