7面金融 ニュース解説
日銀、政策金利1.25%に引き上げ 7対2で決定
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度に引き上げることを賛成7、反対2で決めた。6月の利上げからの間隔は約3カ月。決定文の判断と2人の反対意見、10月会合までの確認点を整理する。
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を、1.0%程度から1.25%程度に引き上げることを決めた。賛成7、反対2の多数決である。新しい方針は、翌営業日にあたる9月24日から適用される。共同通信は、政策金利が約31年ぶりの高水準になったと報じている。
- 日銀は9月18日の決定会合で、政策金利を1.25%程度に引き上げた。賛成7、反対2で、適用は9月24日から。
- 決定文は、基調的な物価上昇率が2%に近づいているとして、今後も政策金利を引き上げていく方針を示した。反対した2人は据え置きを求めた。
- 次回の会合は10月29〜30日で、30日に経済・物価情勢の展望(展望レポート)を公表する。
何が起きたか:1.25%程度、賛成7・反対2
日銀の公表文によれば、会合は9月17日の午後2時から始まり、18日は午前9時から11時47分まで開かれた。決定の公表は午前11時54分である。誘導目標は「1.25%程度」で推移するよう促す内容となった。
あわせて、補完当座預金制度の適用利率は1.25%、基準貸付利率は1.5%に変わった。補完当座預金制度は、金融機関が日銀に預ける当座預金に利息をつける仕組みである。基準貸付利率は、補完貸付制度で日銀が金融機関に資金を貸し出す際の基準となる金利にあたる。
反対したのは浅田統一郎委員と佐藤綾野委員の2人だ。浅田委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率が2%を下回り、経済の状況も「必ずしも強いとはいえない」として据え置きを求めた。佐藤委員も、「このタイミングでの利上げは適切ではない」との理由で同じく据え置きを求めた(いずれも日銀の公表文)。
前回の利上げは6月16日の会合で、1.0%程度への引き上げだった。7月31日の会合は据え置きである。今回は6月から約3カ月後の利上げで、共同通信は植田和男総裁の就任後で最短の間隔だと伝えた。
背景:基調的な物価上昇率と長期金利の上昇
決定文は、基調的な物価上昇率が2%に近づいており、2%を上振れるリスクもあると判断した。金融環境については、利上げ後も緩和的だとしている。そのうえで、今後も政策金利を引き上げていく方針を示した。
景気は、「中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復」していると位置づけた。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は足もとで1%台後半である。日銀は、2026年度後半以降に2%をはっきり上回る水準まで伸びると予想している。
市場では、会合の前から利上げが意識されていた。9月1日には、新発10年国債の利回りが取引時間中に一時3%に達した。共同通信は、日本相互証券の集計で1996年10月以来の高さだと報じ、NHKは日銀の早期利上げ観測と財政への懸念を背景に挙げた。財務省の国債金利情報では、10年債の終値ベースの利回りが3%を超えたのは9月2日(3.006%)である。長期金利の動きは、長期金利が約30年ぶりに3%台に乗せた局面を整理した記事で扱った。
影響と論点:2人の反対と「緩和的」な金融環境
今回の論点は、足もとの物価と、日銀の見通しとの距離である。浅田委員が指摘したように、消費者物価の実績は2%を下回っている。一方、決定文は、基調的な物価上昇率が2%に近づき、先行きは2%を上回ると見ている。賛成側は見通しと上振れのリスクを、反対側は足もとの実績を重く見たと、公表文の記述からは読める。
もっとも、日銀は利上げ後の金融環境を緩和的だと判断している。1.25%程度という水準が、直ちに景気を冷やす水準だとは位置づけていない。ただし、同じ決定文が今後も政策金利を引き上げていく方針を明記した点は、今後の議論の前提になる。一方で、次の利上げの時期は決定文では示されていない。
家計への波及は、金融機関ごとの判断に左右される。変動型の住宅ローンは、短期の市場金利を基準にする商品が多い。ただ、いつ・どの程度金利を変えるかは各行の発表を待つ必要がある。預金金利も同様である。
今後の注目点:10月会合と展望レポート
日銀は、今回の会合の「主な意見」を10月1日に公表する予定である。委員が景気や物価をどう議論したかが、文章で確認できる。議事要旨は11月5日に公表される。
次の決定会合は10月29〜30日で、30日に展望レポートが公表される。展望レポートでは、政策委員の見通しとリスクの評価が示される。9月に示した「2026年度後半以降に2%をはっきり上回る」という見立てが維持されるかどうかが、利上げを続ける方針の裏づけになる。
決定会合の仕組みや公表文の読み方は、日銀の金融政策決定会合を解説した記事で整理している。なお、同じ10月1日には日銀短観の公表も予定されている。
出典
- 金融市場調節方針の変更について(日本銀行、2026年9月18日)
- 金融政策に関する決定事項等(2026年)(日本銀行)
- 金融政策決定会合の運営(日程)(日本銀行)
- 日銀利上げ、1・25%に ペース最短3カ月に加速(共同通信、2026年9月18日)
- 長期金利3%超 約30年ぶり 日銀の早期利上げ観測など背景(NHK、2026年9月1日)
- 国債金利情報(過去分)(財務省)
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