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7面金融 ニュース解説

金融庁が金融行政方針 金利上昇でシステム全体のリスク監視

金融庁は2026年9月15日、2026事務年度(2026年7月〜2027年6月)の金融行政方針を公表した。金利上昇の局面で、個別の金融機関に加えて金融システム全体のリスク把握を重視する。公表資料と報道を分けて整理する。

ジャパンマーケットニュース編集部 公開 出来事の日付 5分で読めます
写真はイメージです(Unsplash)

金融庁は2026年9月15日、「2026事務年度金融行政方針」を公表した。事務年度とは、金融庁の施策の区切りで、今回の対象期間は2026年7月から2027年6月までである。方針は、2026年7月に策定された「成長投資を促進するための金融戦略-資産運用立国のアップグレード-」の施策を具体化する位置づけで、金利が上がる局面で金融機関がどう対応しているかの確認を前面に置いた。

要点
  • 金融庁は9月15日、2026事務年度(2026年7月〜2027年6月)の金融行政方針を公表した。金利上昇と企業の資金需要の高まりへの金融機関の対応を確認する。
  • ロイターによると、個別機関の監督に加えてシステム全体のリスクを重視し、預金獲得競争を背景にしたALMの点検や、不動産・データセンター向け融資などを注視する。
  • 報道ごとに内容が異なる部分があり、公表資料で確認できる範囲と、報道だけの情報を分けて読む必要がある。

何が起きたか:2026事務年度の方針を公表

金融庁が公表した「主なポイント」によると、方針の柱は次のとおりである。

  • 金利上昇と企業の資金需要の高まりへの、各金融機関の対応の確認
  • 金融システム全体のリスクの把握
  • 不祥事の真因分析(経営の姿勢や組織風土まで含む)
  • 保険会社への厳正な対応
  • 暗号資産交換業者の監督、金融犯罪への対策
  • 令和8年熊本地震の被災者への金融面の支援
  • 生成AIの活用による行政の高度化

金融庁は、7月の金融戦略に盛り込まれた、地域金融力の強化、アセットオーナー、資産運用サービス、家計の資産形成といった施策を、この方針で具体化するとしている。

背景:金利が上がる局面で何を確かめるのか

金利の水準は、このところ大きく動いている。新発10年国債の利回りは9月1日に取引時間中で一時3%に達した(共同通信)。経緯は長期金利の3%台入りを整理した記事で扱っている。日銀は9月17〜18日に金融政策決定会合を開いており、結果は日銀の9月会合の決定を整理した記事にまとめた。

一般に、金利が上がると銀行は預金金利の引き上げを迫られ、保有する債券の価格は下がる。調達と運用の金利の動きがずれれば、収益や資金繰りに響く。この資産と負債を一体で管理する手法がALM(資産負債管理)である。ロイターによると、方針は預金獲得競争を背景にした金利・流動性リスクについて、ALMの状況を点検するとしている。

影響と論点:どこにリスクを見ているか

ロイターが伝えた方針の骨格は、個別の金融機関の監督に加えて、システム全体のリスクを重視する点にある。注視する対象として、不動産向けの融資、大口の与信、海外ファンド向けの融資、データセンター向けのプロジェクトファイナンスが挙がった。ノンバンクやプライベートクレジットのリスクも対象である。監督局は今夏、「資産運用・保険監督局」と「銀行・証券監督局」に再編されたという。これらはロイターの報道で確認した内容であり、「主なポイント」の項目には個別の融資分野の記載はない。

地域の金融機関についても言及がある。北海道新聞によると、信用金庫と信用組合について、金利上昇による債券の含み損とガバナンスの監視を、財務局と連携して強める(記事は有料で、リード文のみ確認)。預金者や地域の企業にとっては、地元の金融機関の経営の安定が、融資や決済の継続につながる。

大手銀行の海外事業については、共同通信が9月5日に、方針案の段階で報じていた。三メガバンクグループの海外事業の把握を強め、リーマン・ショック型の危機を想定したストレス分析を、日銀や海外の当局と連携して行うという内容である。共同通信は、三菱UFJフィナンシャル・グループがインドのノンバンクに約6,800億円を出資した例を挙げた。ただし、これは方針案の報道であり、公表された「主なポイント」には記載がない。最終的な方針にどう盛り込まれたかは、本文で確認する必要がある。

もっとも、監視の強化は、融資を絞ることを求める趣旨とは限らない。「主なポイント」は、金利上昇とあわせて企業の資金需要が高まっていることを挙げ、各金融機関の対応を確認するとしている。リスクの把握と、資金需要への対応の両方が、方針の前提にある。

一方、方針は何を調べるかを示す文書であり、結果ではない。点検の結果や、具体的な措置が公表されるのは、これからである。公表資料からは、数値基準や、対象となる機関の名前は読み取れない。

今後の注目点

確認の第一は、方針の本文である。金融庁は「主なポイント」のほかに、本文と英語版を公表している。報道だけで伝えられた項目が、本文にどう書かれているかを確かめたい。

第二は、金利の動きである。日銀の次回の決定会合は10月29〜30日で、30日に経済・物価情勢の展望(展望レポート)が公表される。金利が上がり続けるかどうかは、金融機関のALMへの影響を左右する。

第三は、対象期間の終わる2027年6月までの運用である。システム全体のリスクを見る体制が、再編後の監督局のもとでどう動くかは、今後の公表資料で確かめていくことになる。

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

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